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今回は Drupal (ドルーパル)日本語訳シリーズの一環で「 Drupal Code of Conduct 」というものを翻訳してご紹介できればと思います。 こちらの記事です。

はじめに

弊社で利用させていただいている Drupal は一言でいうといわゆる「オープンソース・ソフトウェア」ですが、同時に Drupal というソフトのプロジェクトやコミュニティのことを包括的に指すことばでもあります。

オープンソース・ソフトウェアというのはソフトウェア、つまり「モノ」ではありますが、それを推進するのは結局は「人」であり「コミュニティ」です。 ですので、コミュニティをいかに健全で活発なものに保つかということが規模の大きなオープンソース・ソフトウェア・プロジェクトを長期的に成功させるための最重要ポイントのひとつとされています。

Drupal においてもそのような配慮がなされておりそのひとつの形が今回ご紹介する「 Drupal Code of Conduct 」として結実しています。 Code of Conduct というのは直訳で「ふるまいの規範」という意味で、日本語では「行動規範」「コード・オブ・コンダクト」と表現されることが多いようです。 ここでいうコードというのはソースコードのコードではなく、ドレスコードなどで使う意味でのコードです。 Code of Conduct -- ざっくりいうと「人との接し方に対するマナー心得」といったところでしょうか。 その Drupal 版が今回の「 Drupal Code of Conduct 」略して「 DCOC 」です。

Drupal コミュニティに興味を持ったときにまず目を通しておいて損はない内容です。 Drupal に中長期的に関わっていきたいという方には特におすすめですので、ぜひともご覧いただければと思います。

では以下が翻訳文になります。 いつものごとく日本語としてのわかりやすさを心がけ意訳もあり直訳もありとなっています。 厳密な原文のニュアンスが知りたい方は原文の方にあたってみてください。 ちなみに本記事執筆時点の最新版 2014 年 12 月 11 日のバージョンを元にしています。

Drupal Code of Conduct (ドルーパル コード・オブ・コンダクト)

コミュニティが成長するにつれて、これまでに蓄積されたものを保護する必要が出てきました。 つまり、 Drupal を快適で楽しくチャレンジに満ちたフェアな場所に保つということです。 Drupal Code of Conduct (DCOC) は conduct (お作法 / ふるまい)に関する共通の理想形を示すものです。 これは人に対するコーディングスタンダードだと思ってください。 これは理想の表現であってルールブックではありません。 コミュニティ全体と価値を交換するひとつの方法という意味です。

このコード・オブ・コンダクトは Ubuntu によって作られたものをベースに Drupal コミュニティによって作られた Conflict Resolution Policy を追加したものとなっています。

このポリシーについての議論は Community Working Groupイシュートラッカーにあります。

思いやりを持ちましょう。

私たちがやった仕事の成果は他の人たちが利用するものとなります。 逆に、私たちは他の人たちがやった仕事の恩恵を得ています。 意思決定を行うときにはそのような因果関係を考慮するようにしましょう。 Drupal には何百万ものユーザと何千ものコントリビュータがいます。 そのときには明らかでなくても Drupal への貢献は他の人たちの仕事に影響を与える可能性があります。 たとえば、リリースとリリース間にコードやインフラ、ポリシーやドキュメント、翻訳文などに変更がある場合は他の人たちの仕事にネガティブな影響をもたらす可能性があります。

尊敬の気持ちを持ちましょう。

Drupal コミュニティとそのメンバーは尊敬の気持ちを持って互いに接します。 誰もが Drupal に価値ある貢献をすることができます。 必ずしもいつも意見が合うとはかぎりませんが、意見が合わないことはひどいふるまいやマナーの言い訳にはなりえません。 私たちは誰しもストレスを経験することがありますが、ストレスを個人攻撃に変えることは許されないことです。 人が居心地の悪さや恐怖を感じるようなコミュニティは生産的なコミュニティではないということをしっかり覚えておきましょう。 Drupal コミュニティのメンバーには他のコントリビュータの人たちはもちろん Drupal プロジェクトの外の人たちや Drupal ユーザの人たちに対しても同じく尊敬の気持ちを持って接するということが期待されています。

協力しあいましょう。

協力は Drupal やその他の大きなフリーソフトウェアコミュニティの中核をなすものです。 この協力というのは Drupal のチーム内の個人の間にも、 Drupal 内のチームの間にも、 Drupal 内と Drupal 以外の個人やチームの間にもあてはまるものです。 このような協力関係は冗長性を減らし仕事の質を高めてくれます。 内部的にも外部的にも協力することについて常にオープンな姿勢を保ちましょう。 それが可能な場所ではどこでも技術や支援、ドキュメントやその他の仕事をまとめるために上流のプロジェクトやその他のフリーソフトウェアプロジェクトの人たちと連携しましょう。 私たちの仕事は透明性を持って行われるべきです。 また、なるべく早い段階で関心のある人々を巻き込むようにするべきです。 他の人たちと異なるアプローチを取ることを決めた場合はすばやく告知し、仕事の進行に合わせて定期的に仕事の成果について記述しお知らせするようにしています。

意見が合わない場合は相談しましょう。

私たちのコミュニティではコンフリクトはさまざまな形を取ることがあります。 社会的にあるいは技術的に意見が合わないというのはよくあることですが、どういう方向性での合意があるのかが他の人たちにとって不明瞭なままに固持しわだかまりを持つことは許されないことです。

個人は、まずは当事者間で建設的な方法でもってコンフリクトを解消しようと試みること、そして必要に応じて助けを求めることが期待されています。 このアプローチによって、当事者たちが対立の結果に対してなるべく望みどおりの影響をもたらせるようになります。

それがうまくいかない場合は、仲介し事態を整理して方向性を与えるために指定されたリーダーが担当する形にします。 コンフリクトが発生したときには、それを解消するためのよく考え抜かれた合意のためのプロセスがあります。 それが Conflict Resolution Policy です。

私たちは Drupal コミュニティのいかなるメンバーに対するいじめもいやがらせも容認することはありません。

威嚇やいじめ、いやがらせ、罵倒や差別発言、侮蔑的・屈辱的なふるまいの結果として怖い思いや被害を受けた感じを持った場合は、はっきりと声に出してそれをやめるように言いましょう。 声に出していうことができない場合は、起こった事態の証拠を持って速やかに Community Working Group に連絡しましょう。 いじめやいやがらせがあったということは非公開に報告することができ、ひとつひとつ真剣に取り扱われます。 Incident Report Form を利用しましょう。

あなたの他の誰かがそのようなふるまいを受けていることに気づいた場合は声を上げるようにしてください。 そのような行為をしている人に Code of Conduct のことを伝え、そのようなふるまいは歓迎されないものであることを伝えましょう。

どうすればよいかわからない場合は助けを求めましょう。

Drupal コミュニティでは、あらゆることを知っている人はいませんし、完璧を期待されている人は一人もいません。 質問をすることは将来起こりうる多くの問題を割けることになるので、質問は奨励されています。 質問を受けた人は返事をし手助けをしましょう。 ただし、質問をするときは適切な場所で行うということへの配慮がないといけません。

コミュニティを離れるときも思いやりを持って。

あらゆるプロジェクトには新たに入ってくる人もいれば出ていく人もいます。 Drupal も例外ではありません。 誰かがプロジェクトから立ち去る場合には、それが全体的に立ち去る場合にも部分的に立ち去る場合にも、プロジェクトの混乱を最小限に抑える形で立ち去ることをお願いしています。 これはつまり、自分が離れることを他の人たちに伝え、後に残ったものがうまく引き取られるための適切なステップを踏むようにしましょう、ということです。

翻訳は以上です。 いかがだったでしょうか?

今回は Drupal コミュニティの規範として提案されている「 Drupal Code of Conduct 」をご紹介してみました。 「これはルールブックではない」ということわり書きが冒頭にありますが、私が感じるところではコミュニティの非常に多くの方がこの方針に同意されきちんと守られているように思います。 また、このあたりの考え方はコミュニティのものではありますが、 Drupal を始めた Dries さん個人の人柄や考え方に由来しているところが大きいように思います。

ちなみに Drupal を生み出した Dries さんのブログには、そのようなコミュニティのあり方、組織のあり方についての論考が頻繁に投稿されています。 英語ですが Drupal やオープンソースに興味のある方には刺激的でとてもおもしろい内容になっているかと思います。 ご興味があればそちらもご覧になってみてください。