2025年度 国内CMSシェア調査:国産CMSとDrupalの現在地
森山 智華
こんにちは、スタジオ・ウミの森山です。 先日子どもと「劇場版 鬼滅の刃 無限列車編」を見て鬼滅熱が再燃、シリーズ1から見直しております。
さて本日は、株式会社DataSignが毎年公表している「上場企業CMS調査レポート」が、今年も発表されましたのでご紹介させていただきます。
2025年8月度は、国内の上場企業3,807社・関連ページ19,265URLを対象に実施された調査結果です。上場企業の公式WebサイトがどのCMSを採用しているかを可視化するこの調査は、企業のデジタル戦略を読み解く上で貴重な参考資料となっています。
2025年8月度 CMS国内ランキング Top10
全体ランキング:WordPressの独走とDrupalの安定した存在感
| 順位 | CMS名 | サイト数 |
|---|---|---|
| 1位 | WordPress | 5,319 |
| 2位 | ShareWith | 202 |
| 3位 | Drupal | 120 |
| 4位 | Movable Type | 113 |
| 5位 | microCMS | 109 |
| 6位 | Blue Monkey | 108 |
| 7位 | Adobe Experience Manager | 103 |
| 8位 | HeartCore | 82 |
| 9位 | WordPress.com | 81 |
| 9位 | DNN (DotNetNuke) | 81 |
2025年8月度の上場企業CMSランキング(全体)では、WordPressが圧倒的なシェアを誇る一方で、2位以下は日本独自のCMSが多く並ぶのが特徴的です。特に ShareWith、Movable Type、Blue Monkeyといった国産CMSがランキング上位に食い込むのは、日本市場ならではの傾向です。
Drupalは3年連続で第3位を維持し、依然として安定した存在感を保っています。
国内のシェアは限定的ながら、大規模・複雑な要件を持つWebサイトにおいて、堅実に選ばれ続けていることが分かります。
プライム市場ランキング:Drupalは“数が減らない”3位、選ばれる層の違いが鮮明に
プライム市場(※)に限定したランキングと全体ランキングを比較してみると、少し異なる構図が見えてきます。
全体と同じく1〜3位はWordPress、ShareWith、Drupalの順で、一見変わり映えがないようにも見えますが、注目すべきは順位ではなくサイト数の変化です。
※プライム市場…東京証券取引所の上場区分のうち、最上位の位置する市場。企業規模やガバナンス体制などの基準を満たした大企業が中心となっている。
| プライム順位 | CMS名 | サイト数 |
|---|---|---|
| 1位 | WordPress | 2,543 |
| 2位 | ShareWith | 135 |
| 3位 | Drupal | 103 |
| 4位 | Adobe Experience Manager | 101 |
| 5位 | microCMS | 66 |
| 6位 | Movable Type | 60 |
| 7位 | Blue Monkey | 54 |
| 8位 | HeartCore | 74 |
| 9位 | DNN (DotNetNuke) | 56 |
| 10位 | WordPress.com | 44 |
WordPressとShareWithのサイト数を全体ランキングと比較すると、プライム市場では約半分になっています(WordPress:5,319 → 2,543、ShareWith:202 → 135)。
一方、Drupalは120 → 103とほとんど減っていません。この数字の落差は偶然ではなく、Drupalがもともとプライム市場(=大規模・高信頼性が求められる企業層)で多く採用されていることを意味します。
つまり、WordPressや国産CMSが幅広い層に広がる“裾野型”であるのに対し、Drupalはエンタープライズ層を中心に堅実に使われているという構図が、数字の減り方に如実に表れています。
日本でも世界でも、確かな存在感を示すDrupal
ここでは詳しい紹介は割愛しますが、W3Techsなどの世界的な調査では海外で急伸している Shopify、Wix、Squarespace といったSaaS型のCMSが急伸し、WordPressに次ぐ上位にランクインしています。一方、これらのCMSは国内の上場企業サイトでは現時点ではほとんど導入されていないようです。
また、ShareWith、Movable Type、microCMS、Blue Monkey といった国産CMSは、日本市場特有の存在であり、海外のランキングにはほぼ登場しません。
そんな中で注目すべきは、Drupalが国内でも海外でも上位に入っている数少ないCMSのひとつであることです。
利用数自体はWordPressほど多くないものの、堅実にエンタープライズ領域で選ばれ続けている、いわば“頼れる存在”。
派手な登場シーンはないけれど、その立ち位置は「鬼滅の刃」で例えるなら・・物語の序盤から静かな存在感を放ち、確かな実力で仲間を支える水柱、富岡義勇のような存在と言えるかもしれません(笑)鬼滅の刃に興味ない方、ごめんなさい。
目立ちはせずとも、いつも揺るぎない強さで支え続けてくれる、そんなCMSがDrupal です。
まとめ
今回の調査からは、日本市場特有のCMS勢力図が浮き彫りになりました。国産CMSが健闘する中で、Drupalは国内外で共通して「大規模・高信頼性を求められる現場で強い」という立ち位置を維持しています。
CMS選定においては「導入件数」ではなく「要件に合うかどうか」が重要です。その意味でDrupalは、今後も確固たる選択肢であり続けるでしょう。
スタジオ・ウミとしても、こうした調査データを踏まえ、Drupalの強みと可能性をより広く伝えていきたいと考えています。
最後までお読みいただきありがとうございました!




