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今回は「 Drupal 7 でブログを始めよう」と題して、 Drupal 7 (ドルーパル 7)を使ったブログサイトの作り方の一連の流れをご紹介してみたいと思います。

「ブログ」というもっともシンプルな形のサイトを構築する流れをご紹介することで、 Drupal の利用や開発を検討中の方に Drupal の利用イメージをおおづかみに掴んでいただくことが狙いです。

はじめに

ゴール

今回 Drupal 7 で次のようなブログを作っていきたいと思います。

  • 個人で利用するもの。一人で運用するので登録ユーザーもひとりだけ。
  • シンプルデザイン。特にこだわった素材やレイアウトにはしない。
  • コメント機能。サイトに訪れたゲストユーザからのコメント投稿を受け付ける。
  • 管理画面で完結。プログラミングや PHP の知識を必要としない。

タグ機能などは今回使いません。 複数人が執筆できるマルチユーザブログや多数の異なるブログを作ることもできますが、まずは最もシンプルな形の個人ブログを作ってみましょう。

ブログの作り方

以下実際にブログを作っていきましょう。 まずは Drupal のインストールからです。

インストール

Drupal 7 のインストール方法についてはすでに多くの場所で紹介されているのでここでは手短な説明にとどめます。

まずは[Drupal コア(本体)のページ]から Drupal のコアファイル( .zip )をダウンロードしてきて、展開(解凍)した上で設置したい場所にまるごと設置します。 中には隠しファイルの .htaccess なども入っているので FTP を使う場合にはそれらも忘れずに設置するように注意しましょう。

つづいて、設置したての Drupal サイトにブラウザからアクセスします。 するとインストール手続きのための画面が開くので、指示やヒントにあるとおりにインストール手続きを進めましょう。

このあたりの手順は、英語にはなりますがDrupal.org のインストールガイドのページに詳しく載っています。 ご参考にしてみてください。

スタジオ・ウミでも次のような記事を書いているので、興味のある場合はこちらもご覧になってみてください。

Drupal が動くようになり無事管理画面にログインできたら、次のステップへと進みましょう。

全般的な設定

まずは全般的な設定をしていきます。

管理画面のステータスレポート(パスは /admin/reports/status )の警告などをひととおり解消するのが第一ステップですが、まずはその前にインタフェースの日本語化をしておくと後が楽なのでまずはこれをやってみましょう。

管理画面の日本語化

管理画面を日本語化する際の定番パターンはコアに組み込みのモジュール「 Locale 」とコントリビュートモジュールの「 Localization update 」です。 これらを有効化していきましょう。

一般的なモジュールのインストール方法についてはこちらでご紹介しているのでよろしければご覧になってみてください。

まずは Locale の有効化。 管理画面のモジュール管理ページ(パスは /admin/modules )を開いて「 Locale 」というモジュールを探してチェックを入れ「 Save configuration 」をクリックします。 Locale にチェックが入った状態でページが表示されるようになれば有効化は完了です。

つづいてデフォルト言語を日本語にします。 管理画面の言語のページ(パスは /admin/config/regional/language )を開いて「 Add language 」をクリック、一覧から「 Japanese (日本語) 」を選択して「 Add language 」をクリックします。 リストに「 Japanese 」が出るようになれば日本語の有効化は無事完了なので、つづいて Japanese の横の「 DEFAULT 」の部分をクリックして「 Save configuration 」をクリック、日本語をデフォルト言語に設定します。

これだけでは日本語がデフォルト言語になっただけで実際のインタフェース用の原稿がありません。 その原稿をインストールするために Localization update を使います。

Localization update のページを開いて zip ファイルをダウンロードしてきて、 Drupal プロジェクトの中 sites/all/modules の中に一式展開してきて入れましょう。 次のような形で l10n_update ディレクトリが modules 以下に配置される形になれば OK です。

(Drupal コアのルートディレクトリ)
└ sites/
  ├ example.sites.php
  ├ README.txt
  ├ all/
  │ ├ modules/
  │ │ ├ README.txt
  │ │ └ l10n_update/
  │ └ themes/
  └ default/

これで Localization update モジュールが Drupal に認識されるようになったので、 Locale と同じように管理画面のモジュール管理ページ(パスは /admin/modules )を開いて Localization update モジュールを有効化します。

これで準備が整ったのでいよいよインタフェースを日本語化します。 Localization update の有効化で追加された翻訳を更新するためのページ( /admin/config/regional/translate/update )を開いて「翻訳の更新」をクリックし翻訳ファイルをオンラインから取得します。 つづいてパフォーマンスのページ( /admin/config/development/performance )で「すべてのキャッシュをクリアー( Clear all cache )」をクリックすれば、管理画面のインタフェースが日本語化されるかと思います。

これにて日本語化は完了です。

その他全般的な設定

日本語化が済んだら、上述の管理画面のステータスレポート( /admin/reports/status )のページの警告を解消しておきましょう。 定番的な警告については解説記事なども多いので Google 検索しながらで解決できるのではないかと思います。

あとは細かな設定をしておきます。 次のところなどが主な設定ポイントでしょうか。

  • サイト情報( /admin/config/system/site-information
  • アカウントの設定 ( /admin/config/people/accounts
  • ファイルシステム ( /admin/config/media/file-system
  • パフォーマンス( /admin/config/development/performance
  • 日付と時刻 ( /admin/config/regional/date-time

ブログを作る

全般的な設定が終わったら、実際にブログサイト化していきましょう。 まさにブログ用の Blog というモジュールを使うこともできますが、デフォルトで用意されているコンテンツタイプ「 Article 」を使う形が最もかんたん / シンプルなのでこちらを使っていきましょう。

用途と好みに応じて細かな設定だけ行っておくとよいかと思います。 Article の設定ページ( /admin/structure/types/manage/article )からは、デフォルトの掲載位置の設定や投稿者情報の表示のありなし、コメントの受け付け設定などを行うことができます。

デザインを決める

見栄えを気にしなければ、ここまでの手順だけでブログを始めることも可能です。

ですが、せっかく書くならよいデザインのブログがよいかと思うので、デザインの設定を行っていきましょう。 Drupal でデザインを設定するには「テーマ」という仕組みを使います。

テーマは、 Drupal のコアに同梱されている「コアテーマ」と、オンラインで配布されている「コントリビュートテーマ」、独自に作る「オリジナルテーマ(カスタムテーマ)」の 3 種類に分かれますが、今回は「ちょっと凝りたいけど手間はかけたくない」という方針で「コントリビュートテーマ」を使うことにしましょう。

今回は試しに「 Zero Point 」というテーマを使ってみます。

一般的なテーマのインストール方法を次のページでご紹介しているので、この要領で Zero Point テーマを有効化してみてください。

Drush コマンドを使うとテーマのインストールと有効化、デフォルトへの設定方法は次のとおりです。

drush -y en zeropoint
drush vset theme_default rubik

次のような形で zeropoint ディレクトリが themes 以下に配置される形になれば OK です。

(Drupal コアのルートディレクトリ)
└ sites/
  ├ example.sites.php
  ├ README.txt
  ├ all/
  │ ├ modules/
  │ └ themes/
  │   ├ zeropoint/
  └ default/

Zero Point テーマの設定画面( /admin/appearance/settings/zeropoint )を開けば、要素の表示の有無やスタイルなどを微調整することができます。

ここまで来ればあとは実際に記事を投稿していけば、基本的なブログとして使用することができます。 こんな感じになりました。

おわりに

以上です。いかがだったでしょうか?

今回は Drupal でゼロからブログを立ち上げる一連の流れをご紹介しました。 各ステップについてはすでに他の記事でご紹介していましたが、インストールから構築までの一連の流れをまとめて扱ったものがなかったので今回はこのような記事を書いてみました。

さらに本格的にブログを使っていく場合には、各記事のデータやページにレイアウト、使い勝手などさまざまな面での工夫が可能です。 ブログを改善する次のステップとしてはたとえば次のようなものがあるでしょうか。

  • サイドバーにウィジェット(ブロック)を設置する
  • About ページなどの静的ページを追加する
  • お問い合わせフォームを追加する
  • タグ/カテゴリを導入する
  • いいねボタンや Tweet ボタンなど SN 連携機能を導入する
  • WYSIWYG エディタを導入する
  • こだわった CSS を追加する

ブログと一口に言ってもシンプルなものからこだわり機能がついた複雑なものまでさまざまなものがあります。 Drupal の場合、「あそこのブログのあんな機能を使ってみたいなぁ」と思うようなものはそのほとんどが基本機能とコントリビュートモジュールで実践できてしまうので、コーディング / プログラミングを行わない方でも個人ユースで楽しんで使っていただくことができるかと思います。

Drupal の豊富な API を用いたコントリビュートモジュールを開発すれば、一般的な CMS の枠に収まらない独自の機能も追加することができます。 そのあたりはスタジオ・ウミがサービスとしてご提供しているところでもありますので、ビジネスユースでの Drupal の利用、サイト構築にご興味のある方はぜひお気軽にお声がけいただければと思います。


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