今回は「 Drupal 向きのサイトとそうでないサイト」という切り口で Drupal (ドルーパル)の特徴をご紹介できればと思います。

私たちは「ウェブ上に公開されたひとまとまりのもの」を単純に「ウェブサイト」とひとくくりにすることがありますが、「ウェブサイト」「ホームページ」と一口に言ってもその種類はさまざまです。たとえば次のようなタイプ分けができます。

  • 個人サイト
  • 企業サイト
  • キャンペーンサイト
  • メディアサイト
  • CGM ( SNS / 口コミサイト)
  • ウェブアプリ

これらの中には当然 Drupal での開発に向いたものとそうでないものとが存在します。

以下、まずは Drupal の特徴をおさらいしてから「 Drupal 向きのサイト」と「 Drupal 向きでないサイト」を順にご紹介していければと思います。

Drupal の特徴

Drupal (ドルーパル)はいわゆる「 CMS 」で、ウェブサイトのコンテンツ管理をかんたん・便利にしてくれるソフトウェアです。 CMS はシンプルなものから多機能・高機能なものまでさまざまですが、 Drupal は CMS の中でも比較的高機能なものに分類されます。 CMS としての基本である「コンテンツの管理」機能はもちろん、その他にも、ユーザ管理やアプリ開発に向いたモジュール管理など拡張性の高いさまざまな機能を備えています。

Drupal は特に英語圏でよく使われており、 Wikipedia によると世界中のサイトの 2.1% 以上のサイトで利用されているとのことです。 各種 CMS ランキングでは WordPress 、 Joomla につぐ第 3 位にあげられるのをよく目にします。

比較的規模の大きなサイトで使われることが多く、 NASA や Firefox 、アメリカの大学などでの利用例がしばしば取り上げられます(海外事例ページはこちらの記事でもご紹介しています)。

ちなみに、 Drupal という名前は紆余曲折を経て生まれた Drupal オリジナルの単語です。 そのおかげで、検索エンジンで「 Drupal 」と検索したときの検索結果はほぼ 100% この CMS としての Drupal を表すものと考えて問題ありません。 ちなみに Drupal のアイコンである Druplicon にもそれなりのストーリーがあります。

Drupal についてのより詳しい説明は次のページなどをご参考にしてください。

Drupal 向きのサイト

ではここで Drupal に向いたサイトのタイプを見ていきましょう。 以下のようなタイプのサイトが「 Drupal 向き」といえます。

  • 更新のあるベーシックな企業サイト 企業サイトの中でも、サイトに統合されたブログや新着情報など何らかの更新が発生するサイトです。 Drupal のデフォルトの CMS 機能をそのまま活用し、テーマデザインはオリジナルの形にするとよいかと思います。
  • メディアサイト ニュースサイトのように、記事の投稿者と承認者が複数存在するようなサイトです。コンテンツのチェックや差し替えなどの管理プロセスも Drupal コアとコントリビュートモジュールを使えば快適に行うことができます。大学の学部やセンターのサイトなどもこのカテゴリに入るでしょう。
  • CGM サイト CGM (コンシューマ・ジェネレイテッド・メディア)と呼ばれるいわゆる SNS サイトや口コミサイトです。企業内の管理者だけでなく、社外の多数のユーザにログインして使ってもらうようなサイトをサポートする多くのコア、コントリビュートモジュールが Drupal では提供されています。 CGM サイト、 SNS サイトはまさに Drupal にうってつけなサイトといえます。
  • 社内グループウェア 外部に公開するウェブサイトではなく会社内利用するためのウェブサイト、いわゆるグループウェアです。このようなサイトも Drupal の豊富なコントリビュートモジュールと高い拡張性を使えば、とても重宝する役立つサイトに仕上げることができます。スタジオ・ウミでは実際に大野が開発した Drupal ベースのグループウェアを日々使っています。

いずれも、シンプルにも使える、拡張して高機能にも使える Drupal の特徴を活かしたサイト例です。

スタジオ・ウミが制作したお客様サイト実績もよろしければご参考にしてみてください。

逆に Drupal 向きではないサイトの例もご紹介します。

Drupal 向きでないサイト

Drupal 向きでないサイトには次のようなものがあります。

  • 一切更新がないサイト 一度公開してしまえばその後は一切更新を行わないサイトです。更新を行わないのであればあえて CMS を導入する必要もないため Drupal 向きではありません。
  • 小規模な個人サイト ビジネスユースではない趣味の範囲の個人サイトやブログです。あくまで趣味として、ブランドやサイト戦略といったことを意識しないのであればあえて Drupal を使う必要はありません。どこまで機能にこだわりたいかにもよりますが、個人サイトであれば WordPress や各種ブログサービスを使ったりする方がよりスムーズでスピーディかと思います。
  • とにかく安く作りたいサイト サイトの見栄えや機能はともかく、とにかく安くサイトを作りたい場合です。こちらもあまり Drupal 向きとはいえません。 Drupal での開発は CMS を使わないゼロからの開発に比べるとさまざまな部分をショートカットでき効率的ですが、コストがまったくかからないわけではありません。
  • 単発のキャンペーンサイト 期間限定の単発のキャンペーンサイトです。こちらもあえて Drupal で作らなくともよいかと思います。サイトの立ち上げから運用、クローズまでトータルコストを比べてみれば、静的な HTML ファイルで作ってしまった方がよいことも多いでしょう。
  • ウェブアプリ ウェブサイトというよりも「ウェブアプリ」と呼べるようなサイトです。一般的な CMS の範疇におさまらない特別な機能が多い場合はあえて Drupal で作らない方がよいかと思います。ゼロから作っていくタイプのウェブフレームワークを使う方がよりスムーズに目的を達成できるでしょう。

以上です。

Drupal は高機能で非常に高い拡張性を備えた CMS です。 一般的なウェブサイト要件のほとんどは Drupal を使って満たすことができます。 だからといって、「すべてのサイトに Drupal が向いているか」と言われれば、そんなことはありません

Drupal にも Drupal の機能が活きるサイトとそうでないサイトがあります。 Drupal が活きるサイトに対して Drupal を使えば費用対効果の高いウェブサイト開発・運営ができるでしょうし、向いていないサイトに無理に Drupal を使うようなことをすると余計な手間やコストばかりかかる一方で効果の薄いサイトができあがってしまいます。

Drupal その他の「 CMS 」を活用していく上で最大のポイントのひとつは、「目的と戦略に合った最適な CMS ソフトを選ぶこと」かと思いますので、新たなサイト構築を検討される際にはぜひ今回のような情報を参考にしてみてください。

WordPress / Joomla / Drupal の 3 大 CMS を比較したいときにはこのあたりの記事も参考になるかもしれません。 こちらもよろしければご覧ください。

Drupal vs Joomla vs WordPress: CMS Showdown [infographic]


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