本日は自社サイトや自社サービスのためのプラットフォームを検討されている Web 担当者の方を対象に「 Drupal (ドルーパル)はどういう用途に向いているのか 」を解説した英語の記事を翻訳してご紹介したいと思います。

元記事はこちらの Drupal.org の記事です。

企業がどの CMS やフレームワークを選ぶのかというのはその企業の Web 戦略の実行精度やスピードを大きく左右する重要な要素ですが、ふだん CMS について調べていないふつうの Web 担当者の方が短期間のの間に最適なソフトウェアを見つけ出すというのは至難の業です。

今回の記事はそのような方のための Drupal 評価の有益な情報源になるかと思います。 Drupal.org 上の記事なので少し Drupal びいきのところがありますが、比較的ニュートラルな立場で書かれている印象です。 興味のある方はぜひ参考になさってみてください。

ちなみに、今回の記事は最終更新日が 2015 年 07 月 28 日のバージョンを元にしています。 いつもの翻訳記事と同じく日本語としてのわかりやすさを重視し直訳/意訳をおりまぜています。 原文の厳密なニュアンスが知りたい方は原文の方もあわせてご覧いただければと思います。

では以下が記事の翻訳文となります。

Drupal はこの仕事に適切なツールですか?

Drupal はパワフルで柔軟なコンテンツマネジメントシステムです。 Drupal では実質あらゆるタイプのウェブサイトを構築することができます。 Drupal が活躍するプロジェクトの例をいくつかあげてみましょう。

  • あらゆる方向に進化できる柔軟なサイトを必要としている。 例えば、ブログからスタートして wiki や通販、フォーラム、複数のコンテンツタイプといったその他の機能を追加できるというオプションがほしい場合。
  • 他のサイトや他の技術とのインタラクションがかんたんに設定できるようなサイトを必要としている。
  • 複雑なフォームやワークフローをかんたんに扱うことができるサイトを必要としている。
  • 自分自身でコンテンツタイプを作れることが必要である。 例えば、ページにカスタムフィールドを追加する必要がある。
  • 情報のリストをすばやく整理し表示できることが必要である。
  • 16,000 個の Drupal モジュールのいずれかの機能を必要としている。
  • カスタマイズ機能をすばやく開発する必要がある。
  • サードパーティの API を使ってウェブアプリケーションやマッシュアップサイトを作る必要がある。

一方、使用方法が限定される場合には Drupal がベストチョイスとはならないこともあるでしょう。

  • もしあなたの唯一の要件が個人的なブログを書けることであるなら、 WordPress のようなより特化されたブログプラットフォームや Blogger のようなホスティング型のブログソリューションを使うことを検討したくなるかもしれません。 Drupal はインストールしてそのままブログプラットフォームとして利用することもできますが、ブログに特化したソフトウェアはより管理者インタフェースがよりシンプルで、カスタマイズや投稿がよりかんたんにできるようになっているでしょう。 同様に、もしあなたの唯一の要件が wiki を作ることであれば、おそらく MediaWiki のような wiki 専用のソフトウェアやホスティング型の wiki ソリューションを使うことを検討するのがよいでしょう。 確かに、コンテンツを誰でも編集できるように(さらに wikitooks や Diff のようなコントリビュートモジュールの助けを借りて応用的な wiki の機能を使うこともできるように) Drupal を設定することもできますが、よりそこに専門化されたソリューションを利用する方がシンプルでしょう。
  • もしあなたの唯一の要件がディスカッションフォーラムを持つことであれば、フォーラム機能がひととおり揃った SimpleMachinesphpBB 、プラグインが豊富な Vanilla などのシステムを検討したくなることでしょう。 しかし、カスタムフォーラムが欲しい場合は Drupal のフォーラムモジュールと Advanced Forum のようなフォーラム強化モジュールの使用が応用的な使い方には向いているかもしれません。

重要メモ: ソフトウェアを評価する際は、つねにデュー・デリジェンス(綿密な調査)を行いそのソフトウェアが定期的にセキュリティフィックス・セキュリティアップデートを行い適切にメンテナンスされていることを確認しましょう。 Drupal.org は上に挙げた外部サイトが提供するソフトウェアのいずれに対しても責任を負っていません。 Drupal のセキュリティについて詳しくはこのページをご覧ください。

リリースの度ごとに Drupal は使いやすくなってきています。 しかし、パワフルなツールの多くがそうであるように Drupal には(勾配のきつい)学習曲線があります。 Drupal の使い方を学ぶには相応の決意と時間が必要です。 あなた自身やあなたの組織が Drupal がどう機能するかについて学習する 時間を割く準備ができていなければ(あるいは、 Drupal の熟練者を雇う ことができなければ)、それはベストな選択肢にはならないかもしれません。

・・・翻訳は以上です。 いかがだったでしょうか?

どんなプロジェクトが Drupal に向いているのかというのとあわせて Drupal が向かないプロジェクトの例についても述べられていました。 御社でご検討中のプロジェクトは Drupal 向き/不向きいずれのパターンにあてはまったでしょうか?

今回の記事に関して私からいくつか補足があります。

  • ここで述べられているのはあくまでも一般論です。最終的に Drupal を選ぶべきかどうかはやはり企業が抱える課題やプロジェクトの目的、制約条件次第となってきます。そのあたりをまず明確にし、目的と現在の状況ありきでじっくり検討してみてください。
  • 文中に「WordPress のようなより特化されたブログプラットフォーム」という表現がありますが、このあたりは誤解を招くところです。現在の WordPress はもはやブログ特化のプラットフォームではありません。 WordPress のルーツは確かにブログにありますが、数多くのプラグインにより WordPress は「単なるブログ」の範囲を大きく越えたプラットフォームに成長しています。
  • 「学習曲線」の話があがっていますが、確かに Drupal でひととおりのことができるようになるまでには多くの時間がかかります。加えて日本の場合は英語圏にあるような豊富なドキュメント/書籍が母国語で存在しないので開発者にはいっそう厳しい状況となっています。自社で開発者を抱える方はこのあたりも加味されるべきかもしれません。

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Drupal は海外ではまさにありとあらゆるところで使われており、 WordPress にも並ぶほどの一大メジャープラットフォームとなっています。 大学サイト、公共系サイト、メディアサイトなど名だたるサイトでの実績が無数にありますし、開発コミュニティの規模が大きく活動も非常に盛んです。 数年以内に開発が急にストップしてしまいサポートが切れるという心配はほぼ要らないと言ってよい状況です。

しっかりした制作会社を見つけて正しい使い方をしさえすれば安心して使える間違いのない CMS ですので、自社の Web 戦略の中核を担うプラットフォームとしての CMS /フレームワークをご検討中の折にはぜひ Drupal を選択肢のひとつに加えていただければと思います。

自社で利用する CMS やフレームワークをご検討中で Drupal に興味をお持ちの方には、以下の参考記事もおすすめです。 よろしければご覧になってみてください。


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